予告(?)してしまったことだし、タイミングは外していますが今回はコレで。
皆様ご存知、皆既日食が先日日本で観測されました。
これは、飛行機ヤローにとっても一大イベント。
「空から皆既日食を!」
そんなスローガンと共に、多数の方がフライトを企画しました。
私たちももちろん、日食ツアーを企画しました。
計画では…前日に鹿児島入り。
ちょっと観光などして、翌朝鹿児島を飛び立ち悪石島周辺へ。
そしてランチしにどこかへ寄って、それから関東へ帰港。
そんなプチ旅行計画でした。
しかし…予定は未定。
今回の「想定外」は、お天気。
鹿児島へ飛んで行った私たちを待っていたのは、いい具合に発達した積乱雲。
ちょっとちょっと…ちょっと!
私の独り立ちデビュー戦なんだから~!
もっとお手柔らかに~!!
鹿児島空港は山に囲まれています。
そこへ積乱雲…揺れる揺れる!
あまりに揺れすぎて…オートパイロットも(自動的に)切れる切れる!
コムスメ、半泣き…。
教官殿も、さすがに心配して陣中見舞いコールをくれました。
翌日も悲惨でした。
朝から土砂降りの鹿児島。
鹿児島周辺はすっぽりと前線とそれに伴う雨雲に覆われています。
サイテーションなどのチャータービジネスジェットが数機。
プロペラ機も数機。
ヘリも数機。
みんな一様に格納庫前で待機。
一向に止む気配のない大雨。
パイロットや関係者たちは、格納庫入口で一様に腕組みしつつ空を睨みつけています。
なんとな~く、笑える光景。
なんて言ってる場合ではありません。
まず動いたのが、
キングエアー 。
土砂降りの中、一番手で上がっていきました。
離陸の際、排気で機体後方に真っ白く舞い上がる水飛沫。
これは…イヤだ。
続いて動き始めた
サイテーション 2機と
マスタング 。
格納庫前で3機同時にエンジン始動…大音量です。
雨はまだまだ土砂降り。
これまた水煙を吹きあげながら離陸して、あっという間に雲の中。
ここまではイイんです。
だって最高レベルの性能を誇る機体たちですから。
問題は残ったプロペラ機と、ヘリたち。
ヘリたちはどうやら諦めモード。
うちらは…諦めきれません!
レーダー天気図をしつこくしつこく更新、そしてまた更新。
う~ん…ばっちり雨雲の中だなぁ。
でっかくかたまってるよなぁ…。
あ、もう一匹(雨雲の)塊が来るなぁ。
でも、それが過ぎたら少し空く…かな?
「多分これを逃すとチャンスはないと思うから」
とは一緒に来てくれたヘリパイロット。
「ココで上がっちゃおう。じゃないと時間的にも…ね」
そうなんです、今回は「日食」
時間に限りがあるのです。
そしてその時間、たったの数分!
しかも、もうすでに当初の予定よりは出遅れているわけです。
前日の悪天候でかなりやられていた私。
また昨日みたいに揺れてガタガタだったらどうしよう…。
最低限、ある程度機体の姿勢が保てるような天候で飛びたい…。
この真っ黒な雲と土砂降りの雨で、それができるのか私は?
うじうじへこんでいたものの。
確かに少し空は明るく、そして雨は小降りになってきました。
そして思いだしました。
日食を見にきたんです、私たちは!
わざわざ南のほうにまで!
チャンスを逃してどうする!
というわけで、意を決して出発。
上がってみると…正確なレーダー天気図に感謝!
意外にも(思ったよりは)天気良好でした。
日本、イヤ世界各地からチャーター機やプライベート機が同時刻に集まってきている今日。
ぶつかっては大変です。
ですから、仲間同士で周波数を合わせ、無線で会話。
「今屋久島上空7000メートル、まだ雲ですが安定してます」
「(観測)ポイントに到達しました。高度14000メートル、青空です」
続々と無線が入ります。
ポイント中心部はえらい混雑しているだろうから、うちらは少し外しておこう。
「只今13000メートル、再び雲に入りました」
そんな一報が入ったのが、ちょうど屋久島に差し掛かろうとしたとき。
うそでしょ…そんな高くにまで雲があるの?
TBMの最高巡航高度、10000メートル。
そこまで上がってもまだ雲の下ってこと…?
じゃぁ日食は?ダメ??
その時の高度、およそ7000メートル。
上はもちろん雲。
その合間合間から欠けている太陽がちらちら見える感じ。
皆既日食開始時刻間近。
うちらは未だ、観測エリアへ向けて8000メートルを上昇中。
上にはまだまだ雲・雲・雲!
三日月のような太陽が、その隙間からチラリチラリのぞいています。
でもかなり暗くはなってきました。
(コックピットの)中、ライト付けるか。
しかし…もしかしてこれが限界か?
ハイ、限界でした。
結局、真っ暗になった瞬間は見れず。
雲を抜けきる事もできず。
何とも中途半端に終わってしまったのでした。
コムスメの初陣、見事な黒星でした…。