ちょっと前に登場した16歳の
アンドリュー・マーツバン。
ようやく初の単独飛行に出ました!
マーツバン家ヒーローの勇姿を一目見ようと、ファミリー大集合。
ご両親を筆頭に、祖父母、伯父、伯母・・・でっかいバンで登場。
学校のドアをくぐるところから、ハンディカムで撮影開始。
「彼女がアンドリューの教官です!」
突然カメラが私の方を向きました。
「アンドリューに何か一言!」
うわぁ・・・そういうの苦手なんだって~!
のりのりのご家族でした。
アンドリュー本人は至って冷静でしたが。
さて、いざ機体に乗り込んで出発。
始めの何回かは、私と一緒に着陸の復習。
それで問題なく飛べていたら、私だけ降りて彼一人で出発。
なのですが。
アンドリュー、すごく不調。
ちっとも着陸がうまいことできません。
あの御一行様の行動がプレッシャーになってしまったなぁ?
本人も焦っている様子がよく伝わってきます。
やっぱりなんのかんの言ってもまだ16歳だもんなぁ。
「接地の時は・・・アイドルパワーにしてなきゃダメだよねぇ?」
「最後に機首を引っ張り起こすタイミングは・・・機体が沈んでからだったよねぇ?」
「風が右から来てるんだから、操縦桿は少し右に切ってないとダメだよねぇ?」
一つずつ指摘していくと、やっぱり賢いアンドリュー。
次第に思い出したようで、きれいに着陸し始めました。
これなら大丈夫。
私は降ろさせていただきますわ。
降りた途端・・・どこからとなく大歓声。
あのファミリーか?
いったいどこにいるんだ?
さてさて、滑走路脇の教官待機場所に行ってみると、すでに先客が。
同僚のジェフ。
彼も彼の生徒さんを単独飛行に出していました。
非常に陽気なカナダ人のジェフですが、なんだか今日は顔色が優れません。
胸に手を当てて、眉間にはシワ。
「やばいよオトハ・・・すっげぇドキドキする」
・・・何さ?
「僕の生徒、さっきからやばい接地しまくりなんだけど」
あらら・・・だからそんな顔してるのね。
生徒さんと話せるように無線機を持ってるんだから、次で止めさせなさいな。
「だから・・・やばすぎる着陸で降りてこれなくなってるんだって!」
おっと・・・それはそれは。
そうこうしているうちに、問題の生徒さんが降りてきました。
シタブリアという尾輪式の機体を使っています。
進入は・・・高いなぁ。
機首の引き起こしは・・・ちょっと足りてないんじゃないか?
あぁやっぱり。
起こし切れない時の典型・・・大きく跳ねました。
こうなった場合、フルパワーでゴーアラウンド。
もう一度すべてをやり直しです。
ところが。
その彼は何と、そのまま再度着陸を試みてしまいました。
そういう時の典型・・・一気に沈んで機首から落ちる・・・また跳ねる・・・。
そうこうしているうちに、振幅が大きくなってしまうと最悪。
プロペラが地面にぶつかってしまうのです。
ラッキーなことにそれは免れた彼。
しかし・・・ようやく接地した直後、大きく左にくるんとまわってしまいました。
うわ・・・早く戻して~グランドループするよ~!
あぁテールも浮いてる~プロペラぶつかるよ~!
あぁ、滑走路から・・・落ちた~!
ジェフと二人、固まっていました。
なんとかかんとか減速し、滑走路に戻った彼。
ジェフと二人で大きく息を吐き出しました。
「もう俺はいい。一秒でも長くここ(教官用のスペース)にはいたくない!」
青い顔をしながらそそくさと帰っていきました。
あら、そういえばアンドリューは・・・?
すでに一度目の着陸を終えていました。
ごめん・・・見てなかったよ。
でもね、貴方は必死で見ていなくても大丈夫だって分かってるからさ。
心の中で言い訳。
単独飛行に生徒さんを出す。
教官にとってもかなりドキドキの行事です。
一度上がってしまったら最後、地上で見ていることしかできませんから。
生徒さんにも教官にも一大事の単独飛行。
だからこそ、成功するとうれしいのです。
そういえば、余談ですが。
生徒さんと地上から交信ができるように、教官は無線機を持って地上で待機。

その無線機に変なシールが張られていました。

皆がアンテナの部分を持って無線機を運ぶため、アンテナがすぐに壊れてしまうのだとか。
こんなことやるのは、社長しかいませんわ・・・。